らもはだ日記

今夜の最後、ダ・ヴィンチのキシモト嬢の挨拶。
「裏方である私がこのようなところで挨拶するのもあれなんですけど。3年前から企画したこのイベントがまさかこんな形で終わってしまうとは思いもしませんでした。今日まで応援してくださってほんとうにありがとうございました」
涙声のキシモト嬢。
「それではいつもどおり、らもさんの歌『いいんだぜ』で終わりたいと思います」


2004年7月10日、生前最後の「らもはだ」で、らもさんが演奏した「いいんだぜ」のVTRが流れ始める。

  いいんだぜ
  いいんだぜ
  いいんだぜ
  いいんだぜ
  君がドメクラでも
  どチンバでも
  小児マヒでも
  どんなカタワでも

  いいんだぜ

  君が鬱病で
  分裂で
  脅迫観念症で
  どんなキチガイでも

  いいんだぜ

  君がクラミジアで
  ヘルペスで
  梅毒で
  エイズでも
  おれはやってやるぜ
  なでてあげる
  なめてあげる
  ブチ込んでやるぜ
  君がいいヤツで
  だからダメなヤツで
  自分が何をしたいのか
  全然わからなくても


そうなんだ。
あなたはどんな人間にも「いいんだぜ」と言ってくれていたんだ。
スクリーンに映写された歌うあなたの姿を見ながら、ポロポロと涙が止まらなくなった。みっともないほどに大泣き。
この歌こそ、あなたの人生そのものではないですか。世の中のあらゆる差別を憎み、権威に「笑い」で抵抗し、すべてを「いいんだぜ」と受け止める。
「いいんだぜ」のりフレインを一緒に歌いながら、最後の最後になって、ようやくあなたがこの歌に込めた意味に気がつくなんて遅すぎるよ、オレ。

これで、さよならなんて。
いなくなってしまうなんて。
ええカッコしいすぎひんか?
おい、中島らも!
この笑えないコントのオチはどこやねん、オチは!?


  いいんだぜ

  君が黒んぼでも
  北朝鮮でも
  イラク人でも
  宇宙人でも
  いいんだぜ
  おれはいいんだぜ
  HEY、BROTHER&
  SISTER
  君はどうだい

  いいんだぜ


らもさん。
最後の「らもはだ」の後、キシモト嬢からオレ宛に手紙が届いたよ。
「らもさんが最後のパートナーに選んだのは鮫肌さん、あなたでした。お疲れ様でした」
もったいなさ過ぎるお言葉。
そうか。最後の最後、あなたはオレを選んでくれたんですね。
胸張っていいですか。


あなたは生前、こんなことも嬉しそうに周囲に言っていたらしいですね。
「TVの世界にはサメがおるからな!」
オレの前ではそんな褒め言葉、ひとっことも言ってくれたことなかったくせに。
それを聞いて、また泣けました。


あなたが死んで、12年。
やっとあなたにお別れの文章が書けました。
天国のあなたへ。
最後の最後に言わせてください。



中島らものバカヤロー!



死んでどないすんねん、ほんまに。
さようなら、らもさん。

さようなら。
さようなら。

(了)

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